エクリン腺からの汗は、汗臭さの原因ですが、ワキガ臭の原因ではありません。ここでは、エクリン腺からの汗の仕組みやメカニズムについて見ていきます。
汗の役割とは?
人間において、汗は主に体温調節の手段で、体の熱を下げる目的で汗は出てきます。汗を分泌することを「発汗」といいます。
人間の体の中では、いろいろな細胞がエネルギーを生み出していますが、その際に熱が発生します。生き続けるためには、エネルギーを生み出し続ける必要があるので、熱は発生し続けるということになります。
その熱を下げる役割のひとつが「発汗」、汗をかくということなんです。皮膚の表面からの汗の蒸発には、冷却効果があって、気温の高いときや運動によって、筋肉が熱くなっている時などには、より多くの汗が分泌されます。
そのような物理的な熱による発汗と、感情的なストレスによる精神的な発汗もありますが、手の平や、足の裏、ワキ、額などに限られます。
私たちが運動したときや、辛いものを食べた時などに主に流している汗は、「エクリン腺」から出てくる汗です。
エクリン腺とは
エクリン腺は、人間のほぼ全身に分布している汗腺で、人間が出す汗のほとんどは、このエクリン腺からの汗(エクリン汗)です。全身に400〜500万の数があると言われています。
毛包とは独立していて、皮膚の表面から比較的浅い位置にあります。エクリン腺からの汗は、アポクリン腺からの汗(アポクリン汗)に比べて薄いものです。
筋肉などと同じく、エクリン腺も使わないと退化していくとされていて、冷暖房にあたりっぱなしという人が増えていて、汗をあまりかかなくなり、エクリン腺が退化しているなど言われています。実際に汗を出すエクリン腺はおよそ半分ぐらいなんだとか。
エクリン汗腺の個数は、子どもだから少ないというわけでなく、差はないそうで、赤ちゃんのころに形成されているそうです。そのため、子どもの方が、身体の表面積がすくないので、分布密度は高いということになります。
汗臭さの原因・仕組み
エクリン腺はとても優秀で、身体に必要なものは「再吸収」といって、身体に戻す働きをしているそうです。ただ、先に書いたように、現代人は退化してきている人が多くて、1つの汗腺からたくさんの汗を出さなければいけません。そうすると、再吸収が間に合わずに、排出しなくていい栄養素なども汗として身体から出してしまうとか。
栄養素をたくさん含んでいる汗は、皮膚の表面にいる細菌にとって最高のエサとなってしまって、菌が繁殖し、汗臭いニオイの原因となってしまいます。
ワキガのニオイとは違う原因ですが、汗をかいて臭うまでのメカニズムは、基本的に同じです。
寒い時でも温かい物を飲んだり、お風呂を長めに入ったり、積極的に汗をかくことで、エクリン腺を退化させないようにできるそうです。